「英語 de チャット」の使い方



■オンライン英会話で学ぶ

オンライン英会話スクールとは文字通り,インターネット回線を使ってオンラインで学ぶ英会話スクールのことです.世界的なインターネット環境の普及に伴って,急速に発展してきました.

講師はフィリピン人がほとんどです.フィリピンの母国語はフィリピン語ですが,英語を公用語の一つとしており,教育やビジネスの場で広く使われているようです.また,日本との時差がわずか1時間のため,生活時間がさほど変わらず,日本人の生活時間でサービスを提供できるという地理的な利点があります.さらに(これが最大の利点だと思いますが),国内に比べて人件費が極めて安い.通常の英会話スクールでは数千円かかるレッスンも,オンライン英会話では,100〜300円程度で受けることができます.忙しいビジネスパーソンにとって,わざわざスクールまで足を運ばなくて良い,というのも利点のひとつでしょう.

■フィリピン英語は大丈夫か

オンライン英会話を始めようとする者にとって気になることはおそらく,「ネイティブではないフィリピン人に,英語を教わって大丈夫か」ということでしょう.個人的には,ネイティブ並みの実力をもった者でない限り,ほとんど問題ないと思っています.その理由は,次のように考えるとわかっていただけるだろうと思います.

これを読んでいる方はきっとネイティブの日本人に違いありませんが,われわれ日本人が外国人に対し,日本語を正しく教えられるかと聞かれると,多くの方は自信がないのではないでしょうか.われわれは,日本人特有の言い回し,使い方を身に付けてはいますが,それがどのような言語体系をもち,またそれがどのように変化するのか,といったことをほぼ意識せずに日本語を使っています.たとえば,私はかつてアメリカ人に,「日本では,1本をいっぽん,2本はにほん,3本はさんぼんと表現を変える.何故だ?」と聞かれて,まったく答えられませんでした.日本人からすればそれは「発音しづらいから」というのが理由ですが,アメリカ人からすれば「いっぽん」だって十分に発音しづらいのです.これを教えるには,日本人が "a"と"an"の違いの理由を学んだように,そのルールを体系化して伝える必要があります.

このような知識を,通常の日本人は持ち合わせていません.だから,「ネイティブだから教えられる」というのは間違いなのです.逆に,英語を外国語として学んだ経験をもつ者の方が,われわれが文法エラーに陥る理由に気付きやすいといえるかもしれません.
※余談ですが,N○Kラジオで外国人に日本語を英語で教えている番組があります.これを聴くと日本語体系の複雑さ・難しさがよくわかります.外国人が日本語を覚えるのは本当に大変だろうと思います.
では,発音はどうか.正直,これは講師によってかなり開きがあります.日本人が "r"と"l"の区別が難しいように,フィリピン人にも固有の苦手な発音があるからです.私の理解によれば,フィリピン人は,どうやら "t","s","ch" の区別が大変苦手のようです.たとえば,私の名前は Atsushi ですが,この発音は彼らにとってたいそう難しいらしく,講師によっては,「あなたの名前は難しいので,"Atsu" でどうかとか,あるいは "sushi" でいいか?(さすがに,「寿司はちょっと・・・」と言って断りますが)と言われることがあります.そのため,"attitude" を "achichude(アチチュード)"と言ってみたり(郷ひろみか!),アクセントの付け場所が異なる(たとえば,subsidiary のアクセントが最初ではなく2番目のiにくる)に出会うこともしばしばです.文法知識についても未熟な講師が少なくなく,受験で体系的に文法を学んだ日本人の方がむしろ正確な知識をもっているかもしれません.

■「英語力は何か」をわかっている講師を味方につける

こうした懸念は確かにあるものの,私に言わせればフィリピン英語をことさら忌避する必要はないと思います.まず,発音については多くのオンライン英会話スクールで,講師の自己紹介をサイトで聞くことができるようになっており,発音の悪い講師は予め避けることができます.それに,多少の訛りは許容できないと,そもそも国際社会でやっていけません.たとえば,インド人の話す英語などは,それは本当に英語か?と思うくらい訛ります.アメリカだけが旅行先ならともかく,ビジネス目的の人にとっては,いろいろな国の訛りにも慣れておかないとそもそも仕事にならないのです.こっちだって日本人訛りがあるのですし,発音の問題はお互い様というものです.文法知識については,レッスン前には判別するのは難しいですが,「この表現は文法的にOKか?」とレッスンで尋ねてみるとすぐに判別できます.自信をもって答える講師とそうでない講師がいますので.

むしろ,気をつけなくてはならないのは,講師と我々との背景知識の差です.フィリピンの教育は,日本と比べるとかなり遅れています(何度かレッスンで教育システムの話をしましたが,フィリピンでは修士号を取るだけで大学教員になれるようです.また,大学教員といっても,研究はほとんどしないようです.確かに,フィリピンの大学の先生が書いた論文は読んだことがないと思います).大学生といっても,そのような大学教員に教わっている以上,日本と比べてレベルが劣ることは想像に難くありません.したがって社会人,特に趣味ではなくビジネスで英語を学びたいと考えている者にとっては,彼らの論理展開力に少し物足りさを感じることがあることでしょう.特に,若い講師はアルバイト感覚でやっているためか,プロ意識を欠く者が多いので注意が必要です.下手すると,こんな会話になります.

私:「日本では,消費税が5%から8%に上がって,消費がしばらく落ち込むことが懸念なんだ.給料が伴って上昇しないと,われわれの消費マインドは簡単には高まらないと思うが.」

フィリピン講師:「あら,それは大変ね.ところで私,この間彼氏とスキューバーダイビングしたんだけど,あなたはダイビングをやったことある?」

さすがにここまでひどい例はないかもしれませんが,オンライン英会話を始めて間もない頃は,彼氏の話をだらだらと聞かされたり,旅行や趣味,映画の話に付き合わされたこともありました.したがって私が講師を選ぶ際は,「若い女の子と話したい」という私情(?)をぐっとこらえて,講師経験の長いやや年配の講師から探すにようにしています.しばらくすれば,「これは,プロだな」と思える講師に出会えるでしょう.

そして,これはこのサイトが強調していることでもありますが,「英語力とは何か」に関して,自分なりの考えをもっている講師に出会うことが重要なのです.レッスンでは,"How are you, today?" などといったお決まりの会話をした後に,"What would you like to do?" などと聞かれます.私はすかさず,"What kinds of lessons do you have?" などと返すことにしています.すると,講師側は「お,こっちにボールを投げ返してきやがった」と一瞬緊張します.この質問で私は,レッスンのイニチアチブを握る(本当に握れているかは別として)と同時に,講師の英語指導力を試すのです.

講師が提示する案は大抵 article discussion ですが,これも,進め方が講師の力によって大分異なります.単純に用意された質問に機械的に答えるようにと指示する人もあれば,こちらの実力や関心をふまえて機転をきかせた質問をしてくる者,はたまた「次回はこれをやるよ」と宿題を課してくる講師もいます.コミュニケーションとはキャッチボールですから,やはり面白い質問をもらった時の方が答えようという気持ちになりますし,レッスンは盛り上がります.

■予習・復習は要るか

した方がよいことは事実でしょう.私も,最初の頃は音声を記録して聞き直したりしていました(これは,発音の矯正に役立ちます).しかし,レッスンの時間分を聞き直す必要があるため,結局続きませんでした.私を含め,ビジネス目的で英語を学んでいる人は,本業がかなり忙しいはずです.そこで,最小限の努力で予習・復習する方法を考えました.

お気に入りの講師とずっとレッスンを続けていると,仲良くなって,頼みごともし易くなります.私の場合は,そうした講師に適当な記事を選んでもらって(これだけで,記事選びの時間を節約できます),レッスン前に送ってもらうようにお願いしています.スカイプをレッスンの5分前に立ち上げて,レッスン前に記事を音読します.それだけで,レッスンの議論は深まりますし,不明な表現は講師に確認することができます(マイクの音をヘッドホンで聞くようにOSで設定できますので,した方が自分の発音がよくわかります).

また,終了後の5分で今日のレッスンで出てきたキーワード等を,この掲示板に記録しています.私の頭では,単語をレッスン内で記憶することはできません.また,10や20の単語を一日で覚えることも不可能です.そこで,重要な表現や単語(1〜2個)に絞り,最低限それだけは次回以降のレッスンで間違わないように心掛けています.

このように,25分のレッスンに,予習5分,復習5分を加える(レッスンによっては,予習がないケースもある)ことによって,漫然とやっているよりは効果がある感じがしています.あとは,本サイトでも紹介している「瞬間英作文」や,海外ドラマのリスニング等を併行して行うことをお勧めします.オンライン英会話とは基本的に,output(経験)の場であって,input(学習)の場ではないと考えるべきです.したがって,オンライン英会話だけで英語力が向上するとは考えない方がよいだろうと思います.私がフィリピン英語で十分だと考えるのも,オンライン英会話を output の場だとみなしているからです.例えて言えば,自動車の運転方法を習う場所ではなく,ひと通り運転の仕方を習ったドライバーが,自分の運転の癖や失敗に気付く場なのです.その意味では,より多くのフィードバックを与えてくれる先生を探した方がよいでしょう.詳細は,このホームページでも解説(「トップに戻る」をクリックして,「英語力とは何か」を参照)していますので,そちらもご覧ください.

「英語 de チャット」は,そんな私の日々の英会話レッスンでの備忘録です.単なる備忘録ですので,正しいメッセージを伝えようという意図はもともとありません.変な内容があっても(あるいは,お前はそんなことも知らんのかという内容があっても),どうか黙殺してください.また,「備忘録」のため,投稿は原則として禁止させていただいています.投稿があった場合は,予告なく削除することがありますので,ご了承ください.


■追記

約5ヵ月ほど続けましたが,現在はオンライン英会話はお休みしています.理由は,今の私のレベルでは,アウトプットよりはインプットの方が効率的だということに気付いてきたからです.

オンライン英会話では,会話を続けることが優先されます.そのため,単発な返答に終わったり,文法的に誤りがあっても(先方はそれに慣れていますから)会話が成立してしまうことが多々あります.慣れたフレーズを何度も使いまわす場面が増え,やがて自分の表現が正しいのかもわからなくなり(フィードバックをもらうように依頼はしているものの,現実には難しい),会話力が身に付いているという実感がなくなっていきました.講師にとっても,ある程度話せる上級者は勝手に話してくれるので楽らしく,自分の英会話力が増すにつれて,相槌だけで”流される”レッスンも増えてきました.

最近では,自分の興味に応じたレッスン用の素材を作ることなども検討しています.いずれにしても,どのように使いこなすかを考える時期が必要だと考え,当面はお休みすることにしました.